ドリームガールズ | 綿菓子屋映画雑記帳

ドリームガールズ

 椅子に押しつけられて身体がのめりこんでいく。圧倒的な迫力に出来るなら後ずさりしたかった。誰かが歌い始めるのを待っているのに恐かった。余りものエネルギーが放射されてくるのでとっくの昔に許容範囲を超えてオーバーヒートしていた。それでも次から次へと歌が大量のロケット弾のように打ち込まれて来る。
 
 テレビ画面では味わえない壮大なシーンはこの映画にない。しかし、この音量で歌を聞くことは普通の家では無理だろう。映像ではなく歌声を身体で感じるために映画館へ行くだけの価値は十二分にあると思った。
 
 ラブストーリではないのに見事に歌と物語が絡み合って、素早い画面展開でスピーディに物語は進んでいく。形としては音楽界の内幕モノになってはいるが、成功を夢見る人間の葛藤と努力のドラマがメインで、心の雄叫びが胸を打ち続ける。
 
 これが歌で、これが映画で、これがミュージカル。